育児してなきゃ酒浸り日記

30代のサラリーマンです。2人の息子と妻との日々を書いています。只今育休中です。

『イクメンの罠』を読む。男が育児参加すればいいってもんじゃないよ!って本。

図書館で育児系の本を調べて見つかった本。

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子供が3歳になったら、“イクメン"を卒業して“父親"になりなさい。 鈍感、不真面目、頼りない―――。ここ数十年、子ども達の父親に対するイメージは悪化し続けている。 「父親は厳しかった」と答える割合は低下し、「よくほめられた」と答える子どもが増えているにもかかわらず、この結果。 上辺だけを真似た欧米流子育ての導入は、日本の家族をどう変えたのか。 イクメンブームが加速する中、教育心理学者である著者が、父性機能の低下と自立できない子どもの増加に警鐘を鳴らす! 本書紹介文引用

読んでみて、付箋をたくさんつけた。ただ、興味関心というよりも、どちらかというと苦笑しながら読むところが多かったため、違和感を感じたところに付箋を付けたという感じ。

 

著者は教育心理学の研究者の立場であり、本書もその立場から「父親がどうあるべきなのか?」を記した内容となっている。

なお、本書の「イクメン」とは、育児に積極的に関わる父親と捉えている。そして、子どもが3歳になったら、そのイクメンをやめなければならないとのこと。そして、イクメンから「父親」に進化しなければならない、と。

えー、育児に積極的に関わっちゃいけないの?イクメンと父親って何が違うの?と思って、一層興味をそそられて読みすすめてみた。ただ、読み終わった感想としては…うーん、という感じ。そもそもイクメンって死語って気もするし、タイトルからして感覚が少し古い感じた。

要は、

イクメン→親として育児に妻と同じように積極的に関わる。怒るよりも子どもの理解者として笑顔で家庭を守る存在。子どもの自由を尊重する存在。

父親→子どもを社会的自立に導く「こうあるべき」を示す存在。権威のような位置づけ。昔ながらの地震・雷・火事・おやじのような、ある意味で畏怖となる存在。ときには「絶対だめだ」と言って動かない、「壁」のような存在。

多分、前者はマスオさんのような優しいパパで、後者は波平のようなおっかないけど威厳ある親父、といった感じかもしれない。そして、ただ優しいだけのパパでは、子どもが我慢できない性格になったり、打たれ弱くなったり、非認知能力が低下したりするなどの可能性があるとのこと。むしろ、厳しい父のもとで育った子供のほうがたくましく成長し、親にも感謝する傾向にあると。筆者自身の学生向けのアンケートやヒアリングをもとにそのような分析をおこなっている。

…のだが、正直、父親が必ずしも上記のような因果関係にあるようには思えず、筆者が意識的に誘導しているようにも感じ、違和感を覚えずにはいられなかった。根拠自体も調査に基づくものとは到底いいにくい。…自身の学生の声でも「?」と思ったのに、映画「三丁目の夕日」を引用し始めたときにはずっこけそうになった。

なお、虐待と父性を発揮することは異なることを明記している。言いたいことはわかるのだが、今の世の中、なかなか筆者が語るような振る舞いができるものでもない。筆者が言う父性を発揮することがモラハラになりうる可能性が高まっていることはどうとらえているのだろか。また、母親と父親の役割を意識せよというのも、固定観念に縛られ過ぎではないかと思う。父親はこうあるべきという提言よりも、あまり理想の父親像にこだわりすぎず、それぞれの家庭の状況に合わせて、必要とされる父親像を目指していけばそれで良いではないか?と思ってしまう。妻が勝ち気な性格の家庭ならば、それをうまくコントールしつつ争いをうまく交わす父親が良いのかもしれない。家族みんなが世の中的に不安を感じやすく、なにか強い権威を求めるならば、筆者が求めるような権威的な父親になればいい。なにか直近で悲しい出来事起こっている家には、何でも笑い飛ばすような柔らかい父親像がよいのかもしれない。家庭の状況によって父親像なんて変わっていいし、変わっていく柔軟性のほうがよっぽど重要ではないかと思ってしまう。

読み終えた感想として、「この本を全世代的なの仕事一徹男たちが手に取り、『その通り!だから今の男たちはだめなんだ。俺達が正しかったのだ!』とはならないでくれよ…」と思ったくらいだろうか。

男性の育児参加が進むことが必ずしも正解ではない、ということを指摘している珍しい本ではあった。多面的な意見を知るという点では面白かったです。