育児してなきゃ酒浸り日記

30代のサラリーマンです。2人の息子と妻との日々を書いています。

アルジャーノンに花束を、そしてキンモクセイ

 

何が私を駆りたてアパートからとびださせ、街をさまよわせるのか? 私はひとりで街を歩きまわる――夏の夜ののんびりした散歩ではなく、思いつめたような急ぎ足で――どこへ行こうというのか? 横町へ入りこみ、戸口をうかがい、半分鎧戸をしめた窓をのぞきこみ、話し相手がいないかと思い、かといってだれかに会うのも恐れている。この道を上り、あの道を下り、果しない迷路を通って、街のネオンの檻にわが身を投げつける。探しもとめて……何を?

アルジャーノンに花束を』より

 

 

木曜日。

 

二泊三日の出張を終えて21時に帰宅。

今回の出張は本当に運転しまくった。レンタカー返却し控えを受け取ると、走行距離800kmの記録。こりゃ頑張ったな。

 

ドライブ中、いつもはラジオを聞くことが多いんだけど、今回はAudibleで耳読書。

新作として出ていた『アルジャーノンに花束を』を聴いて過ごした。

 

www.audible.co.jp

32歳になっても幼児なみの知能しかないチャーリイ・ゴードン。そんな彼に夢のような話が舞いこんだ。大学の先生が頭をよくしてくれるというのだ。これにとびついた彼は、白ネズミのアルジャーノンを競争相手に検査を受ける。やがて手術によりチャーリイの知能は向上していく……天才に変貌した青年が愛や憎しみ、喜びや孤独を通して知る人の心の真実とは? 全世界が涙した不朽の名作

本紹介より。

 

14時間くらいあったけど、長距離運転のおかげで最後まで聴き終えることができた。

不朽の名作なので、今更こまかい感想もいらないだろう。ただ、Audibleの耳読書の真髄を感じされた読書体験であった。ただただ素晴らしかった。ついでに電子書籍を買ってホテルで読んだけど、こちらもとてもよかった。

書籍では口語調で語られる主人公の文体の変化を通じて主人公の知能の変化を感じる仕掛けなのだが、Audibleは声優の読み方で変化を感じるようになっている。これがまあ、字で読むのとはまた違った見事さで、特に、終盤の主人公の知能が失われていく過程は一気に世界観に引き込まれてしまった。正直、商談に行くのを辞めて聴いてようかと思うほどであった。

ちなみにAudibleの読み手は「池澤春菜」さんという声優さん。主人公が30代の男だから読み手は男のほうが良いんじゃないのかなあ?と最初は思ったけど、途中から池澤さんの演出のすばらしさでまったく気にならなくなった。むしろ主人公の内側に主軸をおくならば、子供っぽさを表現しやすい女性の声のほうがリアルだったのかもしれない。映像作品ではなく読書だからこそできる演出なのだろう。いやはや、おみごと。

Audible版の『アルジャーノンに花束を』、とてもおすすめ。

 

話はそれるけど、この本を読んでいる最中、なんどか、音楽バンドのキンモクセイの曲、『目隠しの街』を思い出した。

 

多分、キンモクセイを覚えている人もそんなにいないだろう。というか、知らない人のほうが多いのかな。『二人のアカボシ』は聴いたことある人もいるかな?紅白にも出てたしね。あとは、あたしンちのOPだった『さらば』とかね。でも、『目隠しの街』を知っている人はほとんどいないだろうなあ。アルバムにしか収録されていない曲だし。私自身、高校生の頃聴いていたきりである。

なのに、『アルジャーノンに花束を』読み終えて、なぜかこの『目隠しの街』を思い出すとは。

 

 

 

 

アルジャーノンに花束を』では「話し相手が必要」といった類のセリフが3回出てくる。そして、『目隠しの街』でも、「話し相手が必要 話し相手が必要」という歌詞があり、もしかしたらそこがわたしの頭の中でつながったのかも。ちなみに「話し相手が必要」と言うセリフはいずれも主人公の知能が高い時に発せられたもの。なんとも皮肉な話だ。

 

あらためて聴いてみると、しっとりと懐かしいメロディーと少しだけもの悲しい歌詞は、私の中で感じていた『アルジャーノンに花束を』の雰囲気にとても良くあっていた。そう思ったら最後、もう、何度も聴いてしまった。この文章を書きながらも聴いているわけで。

私のしごく個人的な体験なので共感は求めないけど、こういう体験をしているときの頭がビリビリ痺れる心地よさはなんとも言えないですね。やっぱり読書は素晴らしいものだ。気持ちに余裕がなくてなかなか小説も読めていなかったけど、もっと本は読みたいと思いました。

 

 

出張も終えてくたびれたけど、私以上に妻と義母はもっと疲れたことだろう。明日1日気張って、土日は家族時間最優先に過ごしていこう。