育児してなきゃ酒浸り日記

30代のサラリーマンです。2人の息子と妻との日々を書いています。只今育休中です。

『竜ちゃんのばかやろう』を読んで

 

金曜日。晴れ。

 

午前中、妻が授乳し、私が洗濯をしながら、テレビで『VIVANT』を観る。

 

ブームからだいぶ時間が経った気がするけど、このドラマが放送されていた頃はちょうど出産後でバタバタしていたので、結局観ることができずにいた。最近、Netflixで観ることができるようになったので、午前中に少しずつ妻と観ていた。そして、今日、ようやく最終話にまでたどり着いた。

 ドラマの内容はかなり大味というか、途中からギャグなのかと思ってきた。最終話の「乃木はスネイプ先生だったんだ」と言う阿部寛のセリフには悶絶した。思い出してもニコニコしてしまう。

 

 

妻と一緒に流行りのドラマを観る時間が好きだ。ここ数年だと『男はつらいよ』とか『愛の不時着』とか『半沢直樹』とか『あいの里』とか『マイファミリー』とか『あなたがしてくれなくても』とかを観てきた。面白くても面白くなくても、ドラマを観終わった後に妻とあーだこーだ言っている時間が、自分の人生の中で何よりも幸せを感じる。妻とお付き合いしているときから映画を一緒に観に行ったりしたけど、やっぱりそういう時間が好きなんだな。これからもそういう時間は大事にしていこう。

 

 

話は変わるが、今日、Audibleで1冊の本を読む。上島光氏の『竜ちゃんのばかやろう』という本。

 

「『竜ちゃんが世間から忘れられないように』とその思いで筆を執りました」

本書は、お笑い芸人・上島竜兵さんの妻・光さんによる書き下ろしエッセイです。
2022年5月11日、なぜ”竜ちゃん”は死を選んだのか――。亡くなる直前、ちょっと様子が不安定になっていた竜ちゃん。気づいていながらも、助けることができなかった悲しみ、悔しさ、無力感……。自分はいったいどうするべきだったのかと、今なお葛藤する心の内を初めて明かしました。
心に沸き上がる竜ちゃんへの「怒り」を赤裸々に綴りながらも、どうしても憎めない”竜ちゃん”と過ごした日々を振り返ります。抱腹絶倒の珍エピソード、そしてほろ苦い思い出。脳裏に浮かぶのは、竜ちゃんの小心で自分勝手で、でも人にとことん優しく、繊細な実像でした。

また、竜ちゃん他界後数か月、体調不良に襲われ、発覚した乳がん。重なる不幸を恨みながらも、ひとりで挑んだ心細くつらい闘病生活でしたが、親族や友人に支えられながらなんとか乗り越え、今を懸命に生きています。

本紹介より

 

上島竜兵さんの奥さんが書いた本。

 

本書は、竜ちゃんが亡くなった「あの日」の事から始まる。そして、葬式のこと、著者と竜ちゃんとの出会いのこと、あの日を迎える前の竜ちゃんの異変のこと、竜ちゃんがなくなった後の日々のことなどを、時系列通りではなく、筆者の思うままの順序で記している。

 

コロナウィルスの影響で、人と人との接触は制限され、今までは良しとしていたものが批判の対象になることも少なくなかった。竜ちゃんの芸はまさにその1つで、テレビで彼がお決まりの芸をする機会も殊更に減ってしまっていた。それに加えて、自粛生活、自身の糖尿病や腰痛、不眠症、師匠である志村けんの死…といったように、色々なものが積もりに積もり…。本書を読むと、テレビを観るだけでは知らなかった竜ちゃんの側面がたくさん垣間見えてくる。

 きっと、とても繊細な人で、相当なプレッシャーの世界で生きていたのかなと感じてしまった。

 

 あの日、ワイドショーがこぞって上島家の状態をテレビを中継し、それがあまりにも無神経だということでネットで批判されていたことを今でも覚えている。その時、奥様である筆者はどのような日々を送っていたのか。そのときの胸中も綴られている。また、葬式での友人である芸能人たちの優しさにも語られており、なんとすてきな関係がたくさんあったんだろうと羨ましくなった。

竜ちゃんが亡くなった直後、ご自身に「乳がん」が見つかったようで、その大変さは言葉には表すことができない。

本書では、竜ちゃんへの怒りや悲しみなども隠すこと無く書かれている。それでも、本のタイトル『竜ちゃんのばかやろう』は、決して悲哀に満ちたものではなく、笑いと感謝とともに表したものだと受け止めて読了した。

 

 

竜ちゃんが亡くなったのは2022年5月。

私があの悲しい出来事をニュースで知ったのは、上司と出張中の車の中だった。高速道路を走っている時に、スマホをいじっていた上司が「大変や、ダチョウ倶楽部上島竜兵、亡くなったって…」と言ったのである。私は「ええ!?」と大声で叫んだのを覚えている。

 

もう1年半くらい前のことなのか。まだちょっと前のことのようにも感じてしまう。多分、私がたまにケツメイシの『友よ 〜 この先もずっと…』を定期的に再生してしまうからかも知れない。

 

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竜ちゃんは『男はつらいよ』が好きだったらしく、奥さんと一緒に何度も観ていたらしい。そうか、言われてみれば確かに竜ちゃんは寅さんに似ている感じがある。酒が好きで不躾で自分勝手で、みんなに迷惑かけるけど、なんやかんやとみんなから好かれている感じで…。思い返してみると、テレビでの話し方も、寅さんっぽさがあったようにも思う。

 

自分が死んだら、とか、奥さんとドラマを見る時間の幸せさ、とか、そんな事をぼんやりと考えた読書体験だった。わかんないけど、こういうエッセイ系の本は、Audibleの方が流し読みせずに向き合えて良いなあと思った。

 

今日もケツメイシの『友よ』を聴いてから寝よ。