育児してなきゃ酒浸り日記

30代のサラリーマンです。2人の息子と妻との日々を書いています。只今育休中です。

『男性中心企業の終焉』 自分の立ち位置が変わったことを感じた読後感

 

政府は2003年から、政治家や企業の経営層・管理職など指導的立場における女性の比率を30%にする「202030(にーまるにーまるさんまる)」という目標を掲げていたが、2020年になってもその目標は一向に達成されず、あっさりと達成時期は「2020年代のできるだけ早い時期に」と延期された。ジェンダーギャップが解消するどころか、日本企業に根強く残るのはなぜか?なぜ他国と比較して日本の女性登用はこれほどに進まないのか。 グローバル企業を目指す中で、業界の中での生き残りをかけて、そしてコロナ禍でのリモートワーク普及の追い風を受けて――本気で変わり始めた日本型企業。 メルカリ、NTTコミュニケーションズ富士通、丸紅、キリン、城崎温泉豊岡市――。 「失われたジェンダー30年」を取り戻そうとする奮闘と変化の過程を、自身の取材を交え、豊富な取材で描き出す。 本紹介文より

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浜田氏の名前は聞いたことがあったけど、はて誰だっけ、と思って検索してみると、朝のワイドショー『モーニングショー』とかに出ていた人であった。あまり人柄はわからなかったけど、本の中でご自身の経歴にも触れられており、ああ、そういう人だったんだと改めて知った。

本の内容は、日本の企業における女性の働き方の現状と問題点、そして歴史的な経緯や海外諸国と比較、男性育休制度への期待等、様々な事例(ときには自身の経験)を踏まえて説明している。内容は知らないこともあったり、「ああ、そんな事もあったなあ」と懐かしく思い返したりした。

著者自身のバリキャリとしての経験談が意外と面白かった。男女雇用機会均等法成立時にキャリアを築くことの大変さ、そしてそれを部下に無意識に求めてしまうことの苦悩などがとてもリアル。私の会社でも、役員クラスに女性を登用することが増えているけど、このクラスの方々はおそらく男性並みに働くこと、多くのものを犠牲にして仕事と向き合ってきたんだよなあ、と当時の時代背景を想像すると、本当に恐れ入る。ただ、それを今の現役世代に求めることは酷すぎるし、モデルケースにすることは出来ないのだろう。

本を読んでいると、働く女性を応援、などと綺麗事を言っていても、結局は男性の既得権益のために女性が犠牲になってきた側面も多々あるのだと感じさせられる。時短を取っている女性のマミートラック問題や、重要な仕事から外す、ということはしばしば見てきたけど、私自身も「まあ、しょうがないよね」という価値観を持っていたところも正直ある。そこは自分自身も考え方をあらためないといけないことを痛感し、反省した。

現在は、女性をあえて優先的に要職につかせる動き(ポジティブ・アクション)も増えている。それもまたうちの会社も同じ取り組みをしている。それに対する男性陣の不満が高まっていることを記載されており、それもまたリアルに感じる。男性には、出世競争だけの仕事観を変えることを提言されている。そして、男性育休の推進などと絡めている。

読後に感じたことは、そもそも女性はそこまで働きたい・出世したいと思う気持ちが強い人が多いのだろうか?ということ。もちろん、そういう人もいるし、男女差をつけて不平等に扱う必要性はないと思う。だが、男性だろうが女性だろうが、働きがいということ自体が見直される中、女性だけが働きたい熱を一方的に高められるんだろうか?と思ったりもする。企業の女性の扱い方が良くなっても、家庭や育児の負荷が変わらなければモチベーション維持は難しいだろう。だから男性の育児参加が重要なの!女性の家庭・育児負担を軽減すれば仕事に向き合えるの!というのはわかるんだけど…本当にそんな単純なものなのだろうか?理想と現実の中で、何かが議論から漏れている気がしたりもする。いや、俺が働く女性の気持ちをわかっていないだけと言わればそうなのかもしれないけど。

あと、やっぱり女性の働き方を変えていくとなるととなると、男性の働き方も変えなければならないし、終身雇用についても関わってくる部分も多いだろうし、単純なことではないんだろうなといつも思う。それは、男性の育休だけを変えても全体が本格的に変わらないと根本的な解決にはならないと感じることと一緒だろうか。

いろんな事例に触れて、復職後の自分の長期的な働き方を考えさせられた。多分、理想と現実のギャップに色々悩むんだろうなあ。