育児してなきゃ酒浸り日記

30代のサラリーマンです。2人の息子と妻との日々を書いています。只今育休中です。

再読『ふたりは同時に親になる』 学びから確認作業になった読書

「ふたりで笑っていっしょに楽しく育児をしたい」そう思っていたはずの2人は、なぜ出産を機に「ずれ」はじめてしまうのか……。終わることなき保活やワンオペ育児に忙殺される「あきらめママ」と、そんなママの理解不能な不機嫌さに思わず「無関心をよそおうパパ」の心のからくりを解き明かす1冊。地道なワークショップを通じて多くの新米パパ・ママの悩みに寄り添ってきた著者が送る、「ふたりで同時に親になる」ための心がまえとは。 紹介文より

Amazonキンドル読み放題の対象だったので読む。ちなみに、この本は1人目が生まれたときも読んだので、再読ということになる。

育児に関わる夫婦両方が読んで得られる物があるように感じた。タイトルにある通り、夫婦は同時に親にならなければならないのだが、いつのまにか女性だけが母となり(ならざるを得ず)、男性が親になりきれていない実情がある。ただ、男側からすれば、「自分だって親になっているのに…なんで?』と思わずにはいられないわけである。

第1~2章では、そういった男性の疑問を、母親がいかに大変な生活を送っているのかを言語化し理解できるようにしてくれている。これは育児関連本でよく見るといえばよく見るのだが、この本は、具体的な事例と、男性にもわかるような説明やエビデンスを絶妙に織り交ぜて解説しているところが素晴らしい。多くの育児関連本は、どちらかというと前者に偏りがちなので、男側からすれば「そういう場合もあるだろうけど、我が家とは状況が違うからね」という変換をしてしまいがちのように思う。ただ、ここに男性にわかるような表現を埋め込まれると急に説得力が増すというか、事例についてももっと読まなきゃ、と真剣度が上がってくる感じ。例えば、授乳の大変さは言葉で言われてもなかなか伝わらないところがあるが、筆者は時間軸と頻度を表すデータを差し込むことで、説得力を上げてきている。また、育児の大変さを「過酷な睡眠不足はブラック残業以上」とか「主人公からサブキャラへ」と表現しているのだが、これが男性社会にも通じるもので、いい感じに共感を生みやすい。

第3章は「パパのリアル、パパの事情」ということで、男だってつらいのよ、ということも書いてくれている。ただ、だからといって育児に参加しないことを「しかたないよね」とはしていないので、男性の言い訳になるようなことは書いていない。むしろ、「大変な状況下でも、こういうふうに捉えて育児に参加しましょう」という感じになっている。これについてはちょっと説得力が弱いというか、妻目線を捨てきれていない感じが出ている。それでも、男性側の大変さを女性目線で歩み寄って書いていただいているのは、育児本の中では比較的中立的にしようとしている本である。

第4章は、第1~3章までの情報を踏まえ、具体的な筆者の提言をまとめている。おそらく、本書で最も力の入っている章と見受けられる。

狩野さやか(2017)『ふたりは同時に親になる: 産後の「ずれ」の処方箋』P134 猿江商會

このイラストは、第1子の育児に入ったときに読んだ際にも、強烈に印象づいている。男性側ももっと大変ですよ…?って言いたくもなるのだけど、多分、出産後の妻からしたら、「仕事だけしている」というふうに映る心情である、ということなのかもしれない。このイラストを観て「男だって大変なのに悪意ある表現だ!」ということは簡単なんだけど、妻側の視点を理解する上ではなんか妙に納得させられるイラスト。

ママが欲しいのは育児・家事ともに立ち向かう「仲間」です。孤独な戦いと疲労から救ってくれるのは、懸命な応援とか上から目線のアドバイスなどではなく、ママと同じ側に選手として立って、ともに戦ってくれる「チームメイト」なのです。 狩野さやか(2017)『ふたりは同時に親になる: 産後の「ずれ」の処方箋』P148 猿江商會

この文章は、第2子の育児をしている今、更に強く共感できる。妻が私に求めているのは、まさに戦友というか、同志というか、仲間というか…とにかくそういうものであって、同じ目線で、同じ立場にいてほしい存在なのだと感じている。男は仕事、女は育児という分業体制になるのはしょうがないことなんだけど…妻の本音を察すると、きっと求めているのは分業ではないんだろうなあ、と感じる。これを第1子の頃にもっと思うことができたら良かったのかも、と、ちょっと反省したりもしている。 第4章は最もインパクトがあるのだが、これはやはり育児への向き合い方の程度で感じる量が違うように思え興味深かった。

 

もしも育休取得に悩んでいる後輩くんがいたならば、間違いなく一読をおすすめしたい本。