私達は、自分たちが目に見えているものが全てだと思いがちである。この世は私達が想像するよりも広く、実は私達が見ているものはほんの一部分に過ぎないのである。
わかっているつもりでも、私達はいつも同じ過ちを犯してしまうのは、なぜだろうか?
「イチちゃん、いなくなったよ!」
そういって授乳枕に頭をうずめる一太郎。
「あれ~?イチちゃんどこに行ったんだろうね?(また始まった)」
「ここにいるよ~。あはははは」
「あ、いた!全然わからなかったよ。じゃあ、カカと歯を磨いてきな。ニタ君を寝かしつけてるんだから」
「(再び頭をうずめ)イチちゃん、またいなくなったよ!」
「あ、本当だー。ニタ君、お兄ちゃんどこに行ったんだろうねー」
「いるよーあっはははははは」
「あ、いたいた」
一太郎からすれば、枕に頭をうずめた途端に自分が姿を消していることになる。なぜならば、彼の視界は真っ暗になるため、自分が世界から消えているに決まっているからだ。そして、頭を上げたとたんに世界に再び自分が現れるわけである。
私達は一太郎を「子どもだなあ」と笑えるだろうか。同じような過ちを犯してはいないだろうか?彼の姿から、何かを学び、反省をすることはできないだろうか。そんなことを二太郎を抱っこしながら考えた。
…ダメだ、無理やり教訓じみて書けるかと思ったけど、やっぱり無理でした。一太郎、お前、かわいいよ。こんな時間がなんとも幸せに感じた、ってだけでした。